相続人の中に認知症や痴呆の方がいる場合、その状況に応じた適切な判断ができないことがあります。
しかし、認知症であっても本来は相続人なので、遺産分割協議をするにあたり、成年後見人を選任しなければなりません。
そこで今回は、成年後見制度の仕組みや選任方法、手続きを弁護士に依頼するメリットなどについて解説します。
成年後見制度とは?
認知症等、適切な判断能力に問題がある場合、成年後見制度によって第三者が本人に代わって法律行為を行います。
この時、認知症等の方を「成年被後見人」、選任された方を「成年後見人」といいます。
認知症等で判断能力を欠く相続人がいる場合
遺産分割協議は全ての相続人により執り行われますが、相続人の中に認知症等の方がいた場合、適切な判断ができず協議が成り立たない可能性が出てきます。
認知症で判断能力に乏しいからといって、勝手に相続人から外してしまうことはできないため、成年後見人をつけて遺産分割協議に参加できるよう配慮する必要があるのです。
成年後見人は成年被後見人の代理人として、本人が不公平な立場になったり、不利益を被ったりしないよう、本人同様の立場を意識して努めなければなりません。
成年後見人は利害関係のない人を選任する
認知症の相続人に対して成年後見人を選任する場合、本人との利害対立関係がない人を選ぶ必要があります。
そのため、当該相続には関わらない親類等や、公正な第三者である弁護士から選ぶとよいでしょう。
成年後見人の選任方法とは
成年後見人の選任は家庭裁判所に対して申し立てをします。
後見開始の審判
認知症等の方のために成年後見人を選任する場合、以下にあげる申立人が後見開始の審判を家庭裁判所に対して申し立てます。
- 本人
- 配偶者
- 四親等内の親族
- 検察官
この他、本人が未成年者である場合は未成年後見人も申し立てに参加します。
また、以下の申し立て費用が必要になります。
- 800円分の収入印紙
- 裁判所が指定する連絡用切手
- 2,600円分の登記手数料用収入印紙
この他、精神鑑定が必要な場合は鑑定料を負担する必要があります。
申し立て書類
申し立てに必要な書類について、以下にまとめてみました。
- 所定の申し立て書類
- 本人の戸籍謄本や住民票
- 本人の認知症を証明する診断書
- 本人の財産状況がわかる登記事項証明書や残高証明等の書類
- 成年後見人の候補者の戸籍附票か住民票
- 成年後見等に関する登記がされていないことの証明書
この他にも必要に応じて家庭裁判所から提出するよう指示を受けることもあります。
裁判所による選任
必要書類が揃っており状況に問題が見られなければ、候補者は成年後見人として選任されます。
このように、手続きの流れだけを見るとそこまで難しく感じないかもしれませんが、実際にやってみると必要書類の多さや複雑さのせいで、相続人の方にかなりの負担がかかります。
相続において、成年後見人の選任申し立て手続きは、それだけで終わりではなく、むしろ成年後見人が選任されてからが遺産分割の本番です。
だからこそ、面倒な手続きは弁護士にご依頼いただき、できる限りスムーズに成年後見人を選任することが重要になります。
成年後見人の申し立て手続きは当事務所にご相談ください。
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関連法規や手続きの仕方、スムーズな協議等、知識や経験がないために失っている利益は少なくありません。
例えば、遺産の範囲を知らなければ誤った遺産分割協議を行ってしまいますし、本来主張できる権利等も、主張しなければ何も得られません。
インターネットで自ら情報収集し成年後見人制度を利用しようとする方もおられますが、ネットの情報は必ずしも正しいとは限らないため決して鵜呑みにしてはいけません。
間違った情報を信じて手続きを進めてしまうと、大きな経済的損失を被ったり状況悪化に繋がったりしてしまいます。
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