本来財産を相続すべき人がすでに亡くなっている場合、その子、あるいは孫が代わって相続することになります。
この仕組みを「代襲相続」といい、一定の要件を満たすことが必要です。
今回は、代襲相続の仕組みや要件、相続分などについて解説します。
代襲相続が発生するケース
相続人になるはずだった人物がすでに亡くなっている場合、その子が代わりに相続する仕組みを「代襲相続」といいます。
子もすでに亡くなっている場合は、孫が相続人となります。
代襲相続が認められるのは、「子」「兄弟姉妹」に限られており、次のいずれかに該当する場合に代襲相続が発生します。
- 相続人がすでに「死亡」している場合
- 相続人が「相続廃除」されている場合
- 相続人が「相続欠格」の対象である場合
※相続廃除:生前の被相続人に対し重大な侮辱や暴力行為を行った者から相続権利をはく奪すること。
※相続欠格:生前の被相続人あるいは他の相続人に対し殺害等の意思があった場合や、遺言書を自分の都合のいいように書き換える等の行為をした場合に相続権がはく奪されること。
相続廃除は被相続人が生前の手続きや遺言書によってすることができ、相続欠格は該当する事実がある場合、特段の手続きなく当然に相続権がなくなります。
相続放棄した場合について
相続人である子が相続放棄をした場合、代襲相続により孫が相続するのかというと、そうではありません。
相続放棄をすると、相続放棄をした相続人は当初から相続人ではなかったことになるため、孫に代襲相続は発生しません。
相続放棄した場合、相続権は次順位の相続人に移行するため、子が相続放棄をした場合、相続権は直系尊属である親に移行します。
代襲相続が成立するための5つの要件とは
次の5つの要件を満たすことにより、代襲相続が発生することになります。
【1】相続人が被相続人の子か兄弟姉妹の子である
代襲相続は、相続人が被相続人の子あるいは兄弟姉妹である場合に発生します。
相続人の配偶者や親(直系尊属)について代襲相続は起こりません。
【2】相続人が3つの要因のいずれかによって相続権を失っている
相続人の死亡・相続廃除・相続欠格のいずれかにより本人が権利を失った時、その子らについて代襲相続が発生します。
【3】相続人の子や孫など「直系卑属」である
代襲相続人となれるのは、相続人の子や孫などの直系卑属で、被代襲者から見て血縁関係の近い順に代襲相続人となります。
被相続人に子、孫、ひ孫がおり、被相続人が亡くなる前にすでに子も孫も亡くなっていた場合、代襲を繰り返して相続権はひ孫にまで移り、これを「再代襲」といいます。
相続人が被相続人の子であれば、再代襲は何代でも続いていきますが、兄弟姉妹が亡くなった場合の代襲は子の代までで、甥や姪の子には再代襲しませんので注意が必要です。
また、まだ生まれていない胎児にも相続権は認められているため代襲相続の対象となりますが、死産となった場合は相続できません。
【4】代襲相続者が相続廃除者や相続欠格者ではない
代襲相続者自身が相続廃除や相続欠格の扱いを受けていないことが、代襲相続をする条件です。
【5】被相続人と代襲者が血縁関係にあること
原則として、直系卑属としての血縁関係を持つ者のみが代襲相続者となれます。
養子縁組をした子については通常の相続人となれますが、養子が死亡した場合における養子の子の代襲相続については、養子の子が生まれた時期によって、代襲相続できるかどうかが異なるため注意が必要です。
- 養子縁組前に生まれた養子の子・・・代襲相続できない
- 養子縁組後に生まれた養子の子・・・代襲相続できる
代襲相続人が相続できる割合とは
代襲相続人は実際にどれくらいの財産を相続することができるのでしょうか。
仮に法定相続人の構成が次のような状況だった場合について考えてみましょう。
【法定相続人】
- 配偶者
- 子A:子なし
- 子B(相続開始前にすでに亡くなっている):子2人
この場合の相続分は、配偶者が財産の1/2、子は残る1/2を人数で分けるため1/4ずつ分配します。
従って子Aは1/4を相続するのです。
一方、子Bはすでに亡くなっているため、その子ら(被相続人の孫)に相続権が移り代襲相続が発生します。
もともと子Bの取り分は1/4であり、これを代襲相続者である孫2人で分けることになりますから、1/4÷2人=1/8が孫1人あたりの取り分であることがわかります。
整理すると、配偶者は財産の1/2、子Aは1/4、孫2人はそれぞれ1/8ずつ相続することになるのです。
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